


[東京都立荻窪高等学校 出身]
歴史文化専攻 3年
山田 碧
『ゴールデンカムイ』に出会い、アイヌ文化に惹かれた。遠く東京から札幌大学へ。そこに行かなければ得られない何かが、きっとある気がした。教授の語る言葉、図書館に眠る記録、ゼミで交わす対話。北海道の地で、好奇心が知性に変わっていく。

サツダイを
選ぶまでと選んだ理由
『ゴールデンカムイ』の言葉が
学びの扉をひらいてくれた

動物や自然すべてに感謝する。アイヌの価値観にふれて、その文化に興味を持ちました。特に「天から役目なしに降ろされたものはひとつもない」というアイヌに伝わる言葉に、自分にも何か役割があるのだと考えさせられて、より強く惹かれるように。都内のアイヌイベントに通い詰めるうちに、「現地で学びたい」という思いが強くなっていきました。調べて見つけたのが札幌大学。オープンキャンパスにも何度も通い、「ここしかない」と東京から飛び出す決意が固まりました。

サツダイを選んで感じたこと
76万冊の蔵書に囲まれ
第一人者から学ぶ日々。

図書館には都内にはなかなか見つからないようなアイヌ関連の専門書も数多くそろっています。講義では、本田優子先生や瀬川拓郎先生といった第一人者の先生方が、現地でのフィールドワークの知見を交えて語ってくださるので、書籍では得られない「生きた学び」があります。ゼミでは、アイヌや縄文に関する論文をもとに議論を交わし、自分とは異なる視点に刺激を受けながら理解を深めています。
アイヌ文化や環境に関わる学習?実践活動を展開する「札幌大学ウレㇱパクラブ」主催のイベントにも積極的に参加しています。シンポジウムや講演会を通して、芽生えた興味をさらに深め、学びの幅が少しずつ広がっていくのを実感しています。

今後の進路や目標
アイヌ文化の魅力と意義を
自分の言葉で伝えていきたい。

最近特に関心があるのは、「アイヌの人って刺繍が上手そう」など、善意のつもりでも当事者が差別的に感じてしまう「マイクロアグレッション」の問題です。日々の学びの中で、実際のエピソードにふれ、はっとさせられることがありました。こうした問題を深く理解するためにも、実際にアイヌの方と関わる機会をもっと増やし、その文化や背景にある想いを、直に感じ取りたいと思っています。
大学院にも進学し、さらに深く学ぶつもりです。アイヌを専門的に学ぶ人は多くありません。だからこそ僕が、発信することに意味があると思っています。多文化共生の視点を養いながら、アイヌ文化の魅力や未来を語り合い、守る大切さを、自分なりの言葉や表現で伝えていきたいです。
